フリーランスエンジニアが案件を獲得するためには、案件面接(企業がエンジニアの実力を見極めるために行う面接)を突破することが必要です。職務経歴書(スキルシート)だけでは契約してもらえません。
これからフリーランスになることを検討している人や、面接が上手くいっていない人は 「面接では何を聞かれるの?」「いつも面接で落ちてしまう」と悩んでいる人も多いです。
そこでここでは「案件面接で聞かれる質問内容」と「それぞれの質問へ答える際に注意するべきポイント」について解説します。
どんなにスキルがあっても、案件面接での印象が悪ければ案件は獲得できません。ポイントを理解して、準備しておきましょう。
目次
案件面接で聞かれる質問内容とは
案件面接で聞かれる質問内容は、大きく以下の5つに分けられます。
- 経歴について
- 技術レベルについて
- 技術的志向性(好きな技術、興味関心がある技術)について
- 将来のビジョン(マネージャかスペシャリストか、経営者なのか)について
- 職場状況や自分の興味・関心などについて(逆質問)
最後の決め手になるのは人柄やコミュニケーション力
技術レベルに若干問題があっても、それをカバー出来るだけの人柄や、コミュニケーション力があれば採用される可能性があります。逆にスキルがどれだけ優れていても、コミュニケーション力に問題があれば不採用になります。
コミュニケーション力があるかどうかは、案件面接でのやり取りを通して判断されます。
「質問の意味がわからないときは遠慮なく聞き返す」
「わからない、経験したことがないものは正直に話す」
「やったことがないものでも、仕組みは分かるため出来るはずですと伝える」
など、「謙虚さ」と「自信」の両方を示すことが特に重要です。
【1】あなたの経歴を教えてください(自己PR)
経歴について説明する際は、特に以下3つのポイントを意識するようにしましょう。
1分程度でまとめる
1分程度というのは「短い」と感じるかも知れません。ただ、あなたの職務経歴書は事前にクライアントが見ているため、一字一句経歴書を読み上げる必要はありません。
クライアントは経歴の詳しい説明は求めておらず、簡単にどんな人なのかまずは把握したいのです。
関わってきたプロジェクトが多い場合は直近の2〜3プロジェクトの経験を話す
フリーランス歴が長く、担当してきたプロジェクトの数が多い場合は、直近2〜3のプロジェクトをピックアップして、それについての経験を話しましょう。
開発期間や開発チームの規模、そしてチームの中での自分の役割など、それぞれのプロジェクトを採用担当者が知りたいポイントごとに整理しておくことが大切です。
経歴の中で気になったことをツッコまれる
やり取りの中で採用担当者が気になったことは、さらに詳しく説明することが求められます。採用担当者は必要な項目や基準を満たしているかどうかを、会話を通して確認するために面接をしているので、ツッコまれることは逆にいうとそれだけ重要度が高いともいえます。
当然嘘をつくのはNGなので、聞かれたことにしっかりと答えられるよう、事前に自分の経験を整理しておくことが大切です。質問に回答する際は、以下のようなポイントにも注意しましょう。
自信のないことは喋らない
自信のないことは、職務経歴書(スキルシート)に書いたり、面接でしゃべらないようにしましょう。実際の開発でも、分からないあやふやの状態で、勝手に判断して進める人かもしれないと誤解される可能性もあります。
分からないことや出来ないことは正直に伝えることが大切です。「〜は出来ないのですが、それに近い経験が過去にあり仕組みは理解できるので、すぐにキャッチアップ出来るようにします」など、自分でカバーすればマイナスの印象を与えることもありません。
ブランクがある場合は理由を説明できるようにしておく
経歴にブランクがある場合は、その空白期間について質問される可能性が高いです。ただしその空白期間は、必ずしもマイナスになるわけではありません。
大事なことは今の状況やその空白期間を、前向きに捉えられているかどうかです。隠したりごまかしたりするのは逆効果になるので気をつけましょう。
また病気などで休んでいた場合も、躊躇せずに正直に伝えるほうがいいです。しっかりとした技術があって回復していれば契約してくれる会社がほとんどです。
ただ、健康はフリーランスとしてやっていく上で一番のベースになるものなので、「自己管理ができていない」という印象を与えてしまいます。まずは体調管理を怠らないようにしましょう。
【2】具体的な技術に関する質問(技術レベルの確認)
スキルがあるだけでは採用されないといえども、フリーランスのエンジニアはプログラミングするのが仕事なので、技術レベルが低ければ、採用されても仕事が出来ません。自分の出来ることや得意なこと、企業が特に重視していることを、しっかり説明できるようにしておきましょう。
得意な言語やOSなどについて
得意な言語、OS、利用できるフレームワークなど、エンジニアとしての基本的なスキルセットについては必ず質問されます。これらの項目はスキルシートにも記載していることですが、担当者は記載内容が本当かどうかを確認するために質問します。
事前に自分が出来る事と出来ない事を整理しておいて、スムーズにコミュニケーションが取れるように準備しておきましょう。出来ない事や分からない事は正直に伝えて、その上で自分でフォローをいれることが大切です。
設計や要件定義は可能か?
開発の上流工程にあたる設計や要件定義の経験についても、しっかりとアピール出来るように整理しておきましょう。どんなシステムを設計したかはもちろんですが、進め方や特に注意したことなども重要なポイントです。
応募先の企業が技術の面で特に重視していること
応募先企業のエンジニアのカルチャーや、重視している技術などについて、事前に把握しておくことも大切です。企業のホームページやエンジニアブログなどで情報発信している企業も多いのでチェックしてみましょう。
事前に相手の特徴を把握しておけば、コミュニケーションのズレもなくなり、より安心して面接に臨むことができます。そもそも書いている内容が理解できない場合は、自分の技術レベルが追いついてない証拠なので、応募しないほうが無難です。
【3】得意な技術、これから習得したい技術(技術的志向)
採用担当者がエンジニアだった場合、得意な技術やこれから習得したい技術についての質問は、話が一番はずみやすい質問です。自分の意見や考えを伝えるだけではなく、自然に相手の意見も引き出せるのが理想です。
エンジニアとしての資質や向上心などをアピールできる質問
興味のある技術は、エンジニアがもっとも自分をアピールしやすいチャンスの項目です。どれくらいプログラミングのことが好きか分かる事に加え、説明する際の熱意から、将来の伸びしろも予測できます。
逆にここでまったく話が盛り上がらないと、「会社との相性がよくない」と判断されたり、「開発が好きではないのかな?」と捉えられてしまう可能性もあります。担当者との会話を楽しむことが大切で、そうすれば自然と自分の人柄もアピールできます。
先ほど紹介したように、応募先の企業がブログなどで紹介している情報ソースは、事前にチェックしておくのもひとつです。相手が興味のある話題で話ができれば、話は一層弾むはずです。
どういったサイトの情報を追っているのかもアピールになる
自分がどういう分野にアンテナを張っていて、普段どのようなサイトで情報取集しているのかもアピール材料になります。スキルがまだそこまでない場合でも、情報収集力もアピールポイントのひとつになります。興味のある技術や最新テクノロジーなども整理しておきましょう。
海外サイトなどを見ている場合は、それも忘れずにアピールしましょう。Pythonのように、まだ英語のドキュメントの方が多い言語もあるため、英語力があることもエンジニアの大事なアピールポイントになります。
【4】今後はどんな方向に進みたいのか(ビジョン)
自分の将来に対する志向性もアピールポイントになります。
フリーランスの場合は、通常の転職よりも即戦力になれる人材が求められますが、候補者が複数いて判断に迷った際などは、本人の志向性と会社の方向性が一致している人のほうが有利になるからです。
マネジメントなのか、エンジニアを極めたいのか
将来的にマネジメントも出来るようになりたいか、それとも技術のスペシャリストとして仕事をしていきたいかは特に大切なポイントです。
これまでの経験、より自分がやりがいや楽しさを感じるポイント、そして将来の理想の働き方などを踏まえ、自分でしっかりと整理しておく必要があります。
企業に常駐するフリーランスとして仕事をしていくなら、マネジメントも出来るほうが可能性は広がります。一方で、在宅案件などの割合を増やして行きたい場合は、技術のスペシャリストを目指すほうが働きやすいです。
「起業したい」は好印象
一般的に起業したいエンジニアは、採用担当者に好印象をあたえます。目的意識がはっきりしている人は吸収力が高く、仕事に対する責任感も高いからです。
特にフリーランスの場合は、起業する意思があることを伝えて、マイナスになる事はほぼありません。むしろ「30歳までに起業したいので、今回の案件でBtoCのサービスを体験しておきたい」など、しっかりとしたキャリアプランがあれば、それもアピールになります。
意思だけでなく、実際にとっている行動を伝えることが大切
将来的な理想やビジョンは、考えだけでなく、実現に向けて、実際にどのような行動をしているのか伝えることも大切です。
例えば将来的にマネジメントの方向に進むことを希望しているのに、面接でほとんどしゃべらない人だと「自分のことが見えていないのでは?」「本当にマネジメントがやりたいのかな?」と採用担当者も不安になってしまいます。
考えている事だけではなく、考えている事にどれだけ説得力があるかも大事なポイントになります。
「週末は自分の趣味のサービス開発の時間に使っている」「プログラミングスクールでの、エンジニアを育てる仕事に面白みを感じている」ことなど、理想の実現に向けて実際に行動している事をアピールできるようにしましょう。
【5】最後に質問はないか(逆質問)
まだ経験が浅いエンジニアの方は「残業が多すぎる」「蓋を開けてみたら炎上案件で仕事の対応のほとんどが障害対応だった…」など、実際に案件に参加してから後悔しないように注意してください。
最低でも、案件の良し悪しを見極めるためには、以下の3点を確認しておく必要があります。面接の中で確認できていない部分があれば、最後の逆質問で必ず確認するようにしてください。
- プロジェクトの状況(期間や進め方、残業の有無など)
- 作業環境(作業場所、開発体制、他のエンジニアがどんな人かなど)
- 使っている技術やその難易度
プロジェクト状況の確認について
「プロジェクトの期間は長期なのか短期なのか」「プロジェクトはすでに開始しているのか」「その場合エンジニアの残業時間はどれくらいなのか」などを確認しておきましょう。自分にとって働きやすい環境なのかどうかを確認することが大切です。
作業環境の確認について
「開発体制は何人くらいか」「リモートでの作業は可能か」など、作業環境に関して自分のパフォーマンスに影響する要素があれば、しっかりと事前に確認しておきましょう、
使っている技術・難易度について
プログラミング言語やOSなどはもちろんですが「自分の経験値でも対応可能かどうか」を確認しておくことが大切です。必要なスキルと自分の能力の差が大きすぎると、せっかく採用されても力を発揮できないまま、契約が終了してしまう可能性があります。
逆質問は自己PRのひとつ
エンジニアから採用担当者への逆質問は、自分の興味・関心や考え方をアピールするポイントにもなります。自分が知りたい事を質問するべきなのは当然ですが、調べれば分かることや、面接の会話の中ですでに説明があったことを聞いてしまうと印象がよくありません。
自分が知りたい事を、優先順位をつけて整理しておくのと、質問内容が相手にどういう印象を与えるかの2点を特に意識しましょう。
面接で聞かれる質問は事前に準備しておくべき
「面接になると緊張してしまいうまく話せない」という人が多いです。それはしっかりと準備出来ていないことが原因です。
「採用担当者が知りたいポイント」「面接する企業が重視している技術」「自分の経験やアピールポイント」の3つを事前に整理しておくことが大切です。
面接で話す内容を、事前に全て暗記しようとするのもやめましょう。そういった準備は、かえって緊張を促す原因になります。採用担当者が知りたいことにしっかりと答えることが大切で、そのために必要なことは、上で紹介したようなポイントを整理しておくことです。
ポイントさえ整理しておけば、話す内容で困ってしまうことはありません。より安心して、面接に臨むことができます。