フリーランスエンジニアが仕事を獲得するときには「エージェント」を使うことが多いです。エージェントとは「企業にフリーランスエンジニアを紹介する人材紹介会社」のことです。
エージェントは何社もあり、その数は増え続けています。その中で、フリーランスにもかかわらず、正社員並みの保障をつけてくれる「Midworks」というエージェントがあります。最近では、メディアでも話題となっており、Web広告などで見かけたことがあるという人も多いと思います。
ただ、「Midworksで良い案件を獲得できるのか?」「実際にMidworksの評判はどうなのか?」と不安になることもあります。
そこでここでは、実際に私自身がMidworksに登録し、案件を紹介してもらった経験を元に、Midworksの特徴や気になったことをまとめました。
Midworksとは
Midworksとは、株式会社Branding Engineer(ブランディングエンジニア、以下、BE社とします。)が運営している「IT/Web系フリーランスの独立支援サービス」です。他のフリーランスエンジニアエージェントと同じように、案件の紹介から企業との交渉、契約までをサポートしてくれます。
BE社の本社は渋谷にあります。2013年に設立された会社で比較的新しいこともあり、役員人はじめ若い社員が多く、勢いのある会社です。
BE社はMidworksの他にも、「Tech Stars(通称、テクスタ)」というITエンジニアの転職支援サービスや「mayonez」というエンジニア向けメディアを運営しています。運営しているサービスからも「ITエンジニアを支援したい」という強い会社理念が感じられます。
<株式会社Branding Engineer 会社概要(2018年8月時点)>
会社名 | 株式会社Branding Engineer |
運営している主なサービス | Midworks TechStars TechStarAgent TechBoost mayonez |
設立 | 2013年10月2日 |
資本金 | 122,090,000円 |
代表取締役社長 | 河端保志(かわばた やすゆき) |
所在地 | 本社(東京都渋谷区円山町28-3 いちご渋谷道玄坂ビル5階) サテライトオフィス(東京都渋谷区円山町5-5 Navi渋谷V10階) 宮崎オフィス(宮崎県宮崎市橘通東3-6-34 クロノビル1階) |
Midworksの特徴とメリット
エージェントは他のエージェントと差別化するために、独自のサービスを導入しています。また、サポートを充実させるなど、フリーランスエンジニアに利用してもらうために、様々な工夫をしています。
そのため、エージェントによってサービスの特徴が異なります。Midworksの特徴を以下に挙げます。
リモートワーク案件、週2〜3日の案件が豊富
Midworksで紹介してもらえる案件には「リモートワークでも良い」「週2〜3日だけ働く」という条件のものが多いです。
リモートワークで好きな場所で働く
リモートワークとは、「オフィスに出社する必要がなく、働く場所にとらわれない働き方」のことです。つまり、リモートワークができる案件を獲得すれば、自宅やカフェなど、自分の好きな場所で仕事をすることができます。
「家族との時間を多く取れるようにしたい」「都心が合わないので、地方の田舎で仕事をしたい」というエンジニアはリモートワークができる案件を獲得できれば、そのような理想を実現できます。
週2日〜3日だけ働き、起業準備や自分の事業に時間を使う
週2〜3日働くというのは文字通りの意味です。ただ週5日働く場合と比べて、単価(報酬)は当然少なくなります。例えば、週5日働く場合に80万円/月の単価の案件であれば、週2日にすると「80万円 × 0.4(2日/5日) = 32万円」、週3日では「80万円 × 0.6(3日/5日) = 48万円」です。
「フリーランスエンジニアとして稼ぎながら自分の事業に時間を割きたい」「起業の準備をしながら生活費で困らないようにしたい」というエンジニアが週2日〜3日の案件で仕事をしていることが多いです。
支払いサイトは20日(月末締め翌月20日支払い)
支払いサイトとは、「報酬が振り込まれるまでの期間」のことです。フリーランスエンジニアにとっては、この支払いサイトが短いほうが嬉しいです。Midworksの支払いサイトは20日で、エージェント中では早いほうです。
以下にエージェントごとの支払いサイトをまとめました。
<エージェント別 支払いサイト>
支払いサイト | エージェント |
---|---|
15日(月末締め翌15日支払い) | レバテックフリーランス |
20日(月末締め翌20日支払い) | Midworks |
25日(月末締め翌25日支払い) | ギークス |
30日(月末締め翌月末支払い) | ポテパンフリーランス |
35日(月末締め翌々月5日支払い) | IT Proパートナーズ |
40日(月末締め翌々月10日支払い) | PE-BANK、BTCエージェント for エンジニア |
社会保険料の半額負担、給与保証など、正社員並みの保障がある
Midworksの最大の特徴が「社会保険料の半額負担」「給与保証制度」です。フリーランスエンジニアは個人事業主のため、会社員と違い社会保険料(国民健康保険、国民年金)は全額自己負担です。また、案件を獲得できずに仕事がなければ収入はゼロです。
Midworksはそのようなフリーランスエンジニアのリスクを少なくするために、「社会保険料の半額負担」「給与保証制度」を作りました。これは今までには無く、エージェントの中で唯一のサービスです。
社会保険料は上限月3.5万円まで負担してくれる
フリーランスが支払っている「国民健康保険」「国民年金」の半額を上限月3.5万円までMidworksが負担してくれます。
しかし「単価に3.5万円上乗せしただけ」とも取れるため、あまりキャッチーな言葉に乗せられないほうが良いという見方もできます。他のエージェントで単価が10万円高い案件があれば、そちらを選んだほうが収入は上がります。
仕事がないときに単価の80%を保証してくれる
Midworksの給与保証制度は「Midworks から仕事を受けていたが、契約が切れて仕事がなくなったときに想定単価の80%がもらえる」制度です。仕事が獲得できなかった場合にはとても助かる制度です。
ただこの制度は、「仕事が無くなった場合」という最悪のケースを想定しています。実力があるフリーランスエンジニアは仕事が無くなることは基本的にありません。自分に必要な制度かどうか見極めてMidworksを使うようにしましょう。
書籍代などの経費を一部支援してくれる
Midworksから仕事を紹介してもらっている間は「技術書の購入」「勉強会への参加」にかかった費用を月1万円まで負担してくれます。「技術書の購入や有料の勉強会はお金がかかるから」と消極的だった人には嬉しい制度です。
他にも、クラウド会計ソフトのfreeeを無料で使えるなどの特典もあります。確定申告には欠かせないツールのため、Midworksを利用した際にはfreeeで確定申告を行うことがオススメです。
紹介料やエンジニア単価を公開している
Midworksは紹介料である「マージン率」や「エンジニアの契約単価」を公開していて、透明性があります。契約単価とは、紹介料が引かれる前の、実際に企業が支払っている単価のことです。
「なぜエージェントはマージン率や契約単価を公開してくれないのだろう?」と私自身も疑問に思っていたので、他のエージェントも公開してほしいです。
Midworksの紹介料(マージン率)は「10%〜15%」です。これはエージェント業界の中では標準的です。私がエージェントの担当者と仲良くなって聞き出したマージン率は「10%〜12%」ほどでした。15%だと若干高いです。20%は高過ぎるため、相当単価が良くない限り、そのようなエージェントは使わないほうが良いです。
新しいサービスのため、担当者が積極的にサポートしてくれる
Midworksのメリットとして、「担当者が積極的にサポートしれくれる」ことがあります。これはMidworksが比較的新しいサービスであることが関係しています。
Midworksに登録するフリーランスエンジニアはすでに他のエージェントで仕事を獲得していることが多いです。そのため担当者はMidworksに乗り換えてもらおうと積極的にサポートをしてくれるのです。
そのため、「希望単価や条件などが今よりも良い案件を探してほしい」と伝えれば全力で探してくれます。
リロクラブの福利厚生サービスを利用できる
Midworksは福利厚生サービスの「リロクラブ」と提携しており、年間30万円相当の福利厚生を受けられます。
福利厚生サービスとは、企業が従業員に提供する福利厚生を代行して行うサービスのことで、「福利厚生のアウトソーシング」とも言われます。
リロクラブでは、様々な種類の福利厚生が提供されています。例えば、「宿泊施設に会員価格で泊まれる」「提携レストランで安く食事できる」「スポーツ観戦チケットが安く手に入る」「提携病院での人間ドックが会員価格になる」などです。健康、レジャー、宿泊、食事、結婚、育児関連まで多種多様なサービスが提供されています。
Midworksを使うデメリット
ここまで、Midworksの特徴と利用するメリットを説明しました。ただMidworksにもデメリットがあります。Midworksを使うときには以下のことを理解しておきましょう。
レバテック、ギークスに比べて案件数が少ない
Midworksは2016年に始まった新しいサービスのため、案件数がレバテックやギークスに比べると少ないです。ただ、常時3000件の案件があることを公表しており、「登録しても仕事を紹介してもらえない」ことはありません。
また、MidworksではWeb系のベンチャー企業の案件を紹介されることが多いです。そのため、「大企業で安定して仕事をしたい」「ゲーム開発や組み込み系の案件を探したい」という人には向いていないです。
東京都心部、横浜以外の案件が無い
東京都心部と横浜以外の案件が探せないことも、Midworksのデメリットです。今後は範囲が広がっていくと思われますが、現時点では東京の多摩地区や地方の案件は紹介してもらえません。
保険料は負担してくれても、社会的信用はフリーランスと同じ
Midworksの特徴として「正社員並の保証がある」と説明しました。ただ、契約形態はあくまでも「業務委託契約」であり、世間からみればフリーランスであることは変わりません。
そのため、「住宅ローンを組むことが難しい」「クレジットカードを作りにくくなる」といったことは他のフリーランスエンジニアと同じです。ローンの申し込みなどで、勤務先としてMidwoks(運営会社:Branding Engineer)を書類に書くことはできませんので注意してください。
年齢が50歳以上だと契約できない案件が多い
Web系のベンチャー企業が主なクライアントになるため、「スピード感を求めたい」「社内文化を崩したくない」などの理由で、50歳以上のエンジニアとは契約してくれないことが多いです。
ただ実力があれば企業も契約したいと考えるため、絶対に契約できないわけではありません。私が一緒に働いていた方も、Rubyのコミッターで50歳に近い年齢でしたが案件には困っていませんでした。
年齢に不安がある方は、まずMidworksに登録して担当者に話を聞いてみることをオススメします。
Midworksへの登録〜案件紹介までの流れ
実際にMidworksで案件を紹介してもらうには、登録が必要です。登録は以下のような流れで行うことができ、利用料は完全に無料です。
1.スキルシート(職務経歴書)作成
まずはMidworksへ登録する前に「スキルシート」を作成してください。スキルシートとは「あなたがこれまで経験してきた仕事の内容」を記載した書類のことです。「職務経歴書」ということもあります。
エージェントに登録する場合、スキルシートは必須の書類です。一度作成すると、他のエージェントでも使い回せるため、丁寧に作成しましょう。
2.Webでの会員登録
スキルシートを仕上げたら、Midworksの登録ページから登録します。以下の画面で登録完了すると、さらに詳しくプロフィールを入力する画面が表示されます。その表示に従って、面談日程の調整までをWeb上で行います。
3.Midworksの担当者と面談
Midworksに登録すると3日以内には担当者からメール、または電話がきます。Web上で面談日程を決めていても確認のため、連絡がきます。その後担当者と面談を行うという流れになります。
面談ではMidworksの担当者からスキルを判断するための質問をされます。ただ、担当者はエンジニアではないため、Webの知識やスキルに関して聞かれることはほとんどありません。
「経験のあるプログラミング言語」や「関わりたい案件の業種」「希望単価」を伝えておくと、希望に合う案件を紹介してくれます。
4.案件紹介
担当者との面談後、案件をいくつかピックアップしてメールで送られてきます。気に入った条件の案件があれば、「エントリー→クライアント企業との面接→内定」という流れで案件が決まります。
早ければ、案件の紹介〜内定まで1週間程度になります。「来月の仕事がない!」という人でも月末に登録すれば翌月から案件に参画できる可能性もあるので、登録してみてください。
Midworksの総合評価
ここまでで、Midworksの特徴やメリット・デメリットについて説明しました。Midworksを総合的に評価すると、「週3日やリモートワークなど、今どきの働き方を求めるフリーランスエンジニアにおすすめのエージェント」だといえます。
重要なことはエージェントごとの特徴を見極め、あなたにとって最適なエージェントを選ぶことです。Midworksは登録から案件獲得まで無料で利用できるため、まずは担当者と相談してみるのはおすすめです。